- うるとらはまいデザイン事務所代表・兼デザイナー:浜井 弘治氏
- 文化服装学院、テキスタイルメーカーあるみやしん株式会社、株式会社三宅一生デザイン事務所を経て独立。装苑賞受賞、インターナショナル・テキスタルデザインコンテスト「ファッション振興財団賞」受賞。プロフェッサーズラウンドでは、現役医師との共同開発によって生まれたワークカジュアル感覚の白衣ブランド「 Tiger Bamboo DD(タイガーバンブーディーディ)」でデニム素材の白衣を販売中。その他現在、和紙をつかった服など多方面で活躍。
浜井氏インタビュー、前編になります。
活動について全般的にお聞きしています。
環境問題を意識したブランドや医師のためのデニムブランドを展開
現在取り組まれているご自身のブランドについてお聞かせください
「Tiger Bamboo(タイガーバンブー)」という環境問題を意識したブランドを展開中です。例えば、工場の残った糸を回収して、カットソー製品や、靴下に展開しております。これらでフルアイテム展開をしていくように試行錯誤中です。この残糸の面白いのは、量産の端材という事です。端材なので、トレンドカラーが自然に集まるし、残糸ならではのミックス調の色展開ができます。
白衣については、「Tiger Bamboo DD(タイガーバンブー・ディーディー)」 医師のためのデニムというコンセプト。デニムの持つ時間の経過と共に皮膚への馴染む感覚を白衣に展開しています。
洋服って最後はどうなるのか?を探し、価値をみつけ商品化
アパレル業界で長年ご活躍されていますが、失敗したエピソードなどお聞かせください
素材・生地製作ではよく失敗があります。
例えば、ある素材で裏毛(スエット素材)を作ったのですが、サンプルではうまくできあがったのですが、量産段階で傷だらけになってしまい、編む事は編めるのですが、生産効率の悪い素材になってしまう事がわかりボツにしてしまいました。サンプルでできても、量産でできないという事は多々ありますね。
いままでの活動で意外だったことなどお聞かせください。
過去に反毛(※)を使って商品化したことがあります。
洋服って最後はどのようになるのか?を探した事がありまして、
東京都内では日暮里で集められ、コットン以外は横浜に行って横浜で、ファスナー、釦等を取り除き、最後には反毛という素材になる事がわかりました。
その反毛をつかい、フライトジャケットMA-1とファイブポケットのパンツを商品化した事があります。
これはとても反響がありました。
※反毛とは、不要になった繊維(衣料、糸、布地)などを専用の反毛機械を使って、もう一度わた状に戻すことです。回収された古衣料の約30%が反毛されリサイクルされています。
そもそも服飾に興味をもたれたきっかけは?
中学二年生の時に、メンズ誌/ポパイが創刊され、この雑誌の持つファッションの社会的な側面に興味深く思いました。
ハリウッドランチマーケットとその周辺のブランドはいまでも好きなブランドです。
その他イッセイミヤケグループのブランドそして、普通ともいえるののに、これまでに無かった概念で出てくるブランドに注目しております。
日常の服と違う、強い実験性のある舞台衣装も積極的に手がける
舞台衣装なども手がけていますが、通常の衣服とは全く違う分野ですね
舞台衣装は、日常の服と違い、より強い実験性があります。
これまでに無かった技術や素材をこの場で生かす事を心掛けています。
しかし、舞台衣装というのは、一見好きな事ができそうですが、実は演出家の世界観を膨らませる事が基本の作業です。演出家の表現をいかにわかり易く見せる事ができるか?という事も合わせて考えております。
全国各地、活動の幅もひろいですね
ファッションを取り巻く周辺全般に興味があります。例えば舞台衣装、ファッションの持つ現代美術性、プロダクトデザイン性、環境問題、テキスタイルデザイン等…これらをいつもカタチにして様々な方法で発表しているせいか、ファッション以外の分野の舞台業界、アート関係、広告業界等から、声をかけていただく機会が多々ありました。
例えば、最近、「小池博史ブリッジプロジェクト作品/風の又三郎」の舞台衣装の衣装デザインを作り、この舞台公演を長野県茅野市で開催した事がきっかけで、茅野市民館、茅野美術館と一緒に、茅野市の全小学四年生527名にワークショップを開催しました。