自然素材・和紙について
日本では昔から和紙を日本家屋に取り込みその中で生活をしてきた。それは呼吸する繊維とも言われる和紙の特性が理由となっている。夏場の高温多湿な時には水分を吸収し、乾燥した冬場に水分を吐き出すという。
以前より実用レベルまでに品質向上した自然素材の和紙。和紙デニムなど既にアパレル製品として販売されている。
そして近年SDGsが提唱されて見直されると共に品質もさらに向上してきているという。そこでここでは和紙などの自然素材に関して長く関わり、知識豊富なアパレルデザイナー・浜井弘治氏に教えていただいた内容を一部ご紹介させていただく。
そもそもどうやって和紙の生地はできあがるのか?
和紙糸ができる工程
①原材料の和紙を用意
②和紙を数ミリ幅に細く切る
③細く切られた和紙を撚り強度を上げる
④和紙糸の完成
和紙糸の特長
- 非常に軽い。おおよそ綿の三分の一の比重
- 吸湿性が綿のおよそ10倍
- 調湿機能がある→日本では昔からこの保湿性のある素材を家屋に取り入れて快適にくらせるようにしていた。
進化している和紙糸
これまでの和紙糸は伸度がなかったため、伸びない糸は編みにくく織りにくかった。そして他の糸と撚糸する事で、伸びる糸にできるようになっただけでなく、和紙糸と他の糸を撚ることで、お互いの欠点や長所など補い合い、これまでになかったような質感と機能性を実現した高機能素材が作れる可能性が広がった。
夏は涼しく冬は暖かいといった性能をメディカルウェアに。和紙本来の自然機能から実現
例えば和紙と綿を組み合わせて、和紙の軽く、調湿性に優れ、肌触りでは綿の風合いを取り入れることができる。
また、和紙とポリエステルを組み合わせジャージ素材にすることで伸縮性が非常に高くかつ非常に軽い素材を作ることができる。病院施設などエアコンが常時稼働している現場では和紙の優れた保湿性は役立つ機能になるのではないか。
余談であるが、そんな仮説から和紙素材をつかったファッションデザイナーであり和紙素材スペシャリストともいえる浜井氏とプロフェッサーズラウンドコラボにて医療用白衣、スクラブを企画制作することになった
自然素材、竹について
もう一つ。実用的な自然素材として竹を炭素化して作ったボタンがある。 普通の竹のボタンとは違い、炭化することでプラスチックの2倍の強度にもなるという。いわゆるカーボンをイメージすると想像しやすい。
高齢化にともない整備する人手不足など竹害が深刻となるケースが多い。
もともと竹は自然に生えているものは少なく、人工的に作られた。そのため管理ができなくなり放置された竹林は驚くべき繁殖力で近隣の森林に浸食してもともとあった木々を駆逐してしまう。さらに地域によって、竹の根は、横に広くはるため、崖崩れなどを起こしやすいという点も問題視されている。
お話を伺った山口県の萩の竹などは元来品質がよいという事もあるそうで、家具や建材などの他、竹の釦もできることならば製品化して普及できれば、地域の救世主となり一石二鳥といえる。
炭化してつくる竹釦に関しては、コスト面がネックと思われるが普及が進まない。その技術を使用する企業の継続性なども課題があるようだが、SDGsの観点でこちらも見直しされてもよい自然素材といえる。
余談であるが、プロフェッサーズラウンドでも企画商品として竹ボタンをつかったメディカルウェアを予定している。(上記は竹素材から竹ボタンイメージ、実際に使用するボタンとは色やデザインは異なります)
しかしながら、こちらは現在生産されていないため、うるとら浜井デザイン事務所の備蓄の竹ボタンからとなるため、製品化などの実装など、実現は未定となっている。
※資料やデータは「うるとら浜井デザイン事務所」提供