ケンツメディコ マルチスコープNo.141の耳管バネが破損!メンテナンスキットでの交換手順を写真付きで徹底解説

先日、お客様からケンツメディコ「マルチスコープ No.141」の耳管バネが折れてしまったと問合せがありました。お聞きしたところ10年以上愛用していて、今回初めての破損トラブルとの事でした。この製品にはメンテナンスキットが販売されていますので、簡単に修理交換が行えます。今回は取り換えの一部始終を実際の修理写真とともにご紹介いたします。

実は一般的に聴診器では耳管バネの破損はよくあります。「マルチスコープ No.141」なら、買い替えなくても、ケンツメディコ純正のメンテナンスキットで、工具を使わず自分の手だけで修理できます。

目次

マルチスコープNo.141ってどんな聴診器?

「マルチスコープ No.141」は、ケンツメディコ(KENZMEDICO)が製造する日本製の正統派ラパポートタイプ聴診器です。かつてヒューレット・パッカード社が販売していたラパポート・スプラーグ聴診器の系譜を受け継ぐモデルとして、医師の間で長く支持されています。

  • チェストピース(集音部)のパーツ交換により、成人から小児・新生児まで幅広く対応
  • 各パーツが脱着できるため、清潔に保ちやすい(クリーニング性に優れる)
  • 外科・循環器科・救命救急処置室など、幅広い医療現場で使用されている
  • チューブ長は30cm・45cm・60cmから選択可能。定番のブラックのほか、ガンメタリック仕様もラインナップ

交換用パーツ(メンテナンスキット、チェストピースキット、イヤーチップキット)が豊富に用意されているのも大きな特長で、パーツ単位で修理しながら長く使い続けられる設計になっています。

耳管バネが壊れるとどうなる?

マルチスコープNo.141は、ゴムチューブを適度な力で挟み込み、イヤーチップを耳にしっかり密着させるための金属製のバネが外付けされています。一般的に「耳管バネ」といい、ケンツメディコのマルチスコープメンテナンスキットでは「141バネ」と明記しています。

経年劣化や開閉の繰り返しによる金属疲労で、この耳管バネはある日突然パキッと折れてしまうことがあります。今回お預かりした個体も、まさにこの耳管バネが真っ二つに破損していました。

耳管バネが破損したケンツメディコ マルチスコープNo.141の全体写真
耳管バネが破損した状態のマルチスコープNo.141
折れた耳管バネのクローズアップ写真
耳管バネのクローズアップ。金属疲労により、きれいに二つに割れてしまっている。

耳管バネが折れると、イヤーチップが耳にしっかり収まらなくなるため、聴診音が聞こえにくくなったり、そもそも装着できなくなったりします。破損しているのはこの小さなバネ1本だけで、チェストピース(集音部)や本体の金属フレームは無事なケースがほとんどです。聴診器自体を買い替える必要はなく、メンテナンスキットでの部分交換で新品同様に復活します。

メンテナンスキットの中身・価格・購入先

ケンツメディコからは、マルチスコープNo.141専用の純正メンテナンスキットが用意されています(品番:0141B502/品名:141メンテナンスキット45cm)。セット内容は以下の通りです。

同梱パーツ数量
チューブ(軟質PVC製・45cm)2本
バンドチューブKバフクローム1個
樹脂飾り金具2個
141バネ(耳管バネ/6.3mm径)1個
パーツ取扱説明書1部
使用中の聴診器とメンテナンスキットの比較写真
左が今回修理する聴診器本体、右が未開封のメンテナンスキット(品番0141B502)。
メンテナンスキットの内容物一式を並べた写真
メンテナンスキットの中身一式。新しいチューブ2本、耳管バネ、樹脂飾り金具、バンドチューブ、取扱説明書が同梱されている。

チューブの長さは、お使いの聴診器と同じ長さ(30cm/45cm/60cm)を選ぶのがポイントです。またガンメタリック仕様の本体をお使いの場合は、専用のガンメタリック仕様メンテナンスキットを選びましょう。

当店(プロフェッサーズラウンド)でも、マルチスコープNo.141用のメンテナンスキットを取り扱っています。
マルチスコープ No.141 メンテナンスキット(通常仕様)はこちら
マルチスコープ No.141【ガンメタリック仕様】メンテナンスキットはこちら

交換前に準備するもの

今回の作業はドライバーなどの工具は一切不要で、手先の作業だけで完結します。準備するものはシンプルです。

  • マルチスコープNo.141用メンテナンスキット(チューブ長を確認)
  • 破損した聴診器本体
  • 定規(耳管バネの取り付け位置=端から約39mmを測るため)

メーカーの取扱説明書には「※挿入する際、力加減に注意してください。耳管が外れて怪我をする可能性があります。」との注意書きがあります。金属パーツを強く握り込む工程があるため、ゆっくり丁寧に作業しましょう。

耳管バネの交換手順【写真付き】

メンテナンスキットに同梱されている取扱説明書「耳管バネの交換方法」に沿って、①~⑥の手順で交換していきます。

メンテナンスキット付属の取扱説明書「耳管バネの交換方法」
キットに同梱されている純正の取扱説明書。図解付きで手順が説明されている。

① 黒チューブを耳管から引き抜く

まず、破損している側の黒いゴムチューブを、金属製の耳管パーツからまっすぐ引き抜きます。 耳管を左右交互に回転させながら引っ張ると外しやすいです。

黒チューブを耳管から引き抜く様子
破損している耳管とチューブを取り外していく。
両方の黒チューブを耳管からを外した状態
左右黒チューブを耳管からを外した状態。

② 破損した耳管バネを取り除く

慎重に引っ張り、左右両方の耳管から破損した耳管バネを取り除きます。耳管を左右交互に回転させながら引き抜くのが、スムーズに外すコツです。

樹脂製の飾り具を耳管から取り外す様子
樹脂製の飾り具を耳管から外す。
耳管と飾り具が分離した状態のクローズアップし、アニメーションGIFで紹介
耳管と飾り具が分離した状態。
耳管バネを耳管から外した状態
左右の耳管バネを耳管から外しました。

③ チェストピースをチューブから取り外す

チューブからチェストピースを外している様子
チューブからチェストピースを外している様子。

準備完了!!

④ 新しい耳管バネを取り付ける(端から約39mmが重要)

ここが今回の作業で最も重要なポイントです。メンテナンスキット付属の新しい耳管バネを、左右交互に回転させながら耳管に挿入していきます。

取扱説明書の指定通り、耳管バネは耳管の端から約39mmの位置にくるように取り付けてください。正しい位置につけないと、バネにかかる負荷のバランスが変わり、金属疲労や破損(折れ)のリスクが高まるほか、耳管の開き具合(テンション)が変わって装着感が損なわれる原因になります。定規を当てながら正確に合わせることをおすすめします。

新しい耳管バネと新しいチューブなど、キットのパーツ一式
新しい耳管バネを組み込んだ状態のパーツ一式。
左右の耳管パーツと耳管バネが分解された状態
左右の耳管パーツと新しい耳管バネ。この3点を組み合わせていく。
耳管バネのクローズアップ
耳管バネのクローズアップ。
耳管に新しい耳管バネを取り付けている様子1
耳管バネを耳管に挿入しているところ。
耳管に新しい耳管バネを取り付けている様子2
耳管バネを耳管に左右交互に回転しながら挿入しているところ。
左右の耳管に耳管バネを取り付け終えた完成形
左右の耳管に新しい耳管バネを取り付け終えた状態。
定規で耳管の端から約39mmの位置を計測している写真
定規を当てて、耳管の端から約39mmの位置に耳管バネがあることを確認します。(※もう少し調整します。。)

※取扱説明書にもある通り、挿入時に力を入れすぎると耳管が外れてケガをするおそれがあります。焦らず少しずつ力を加えましょう。

⑤ 樹脂製の飾り具を取り付ける

キットに同梱の新しい樹脂製の飾り具を、左右両方に取り付けます。

チューブと樹脂飾り具のパーツを準備している様子
新しいチューブと樹脂飾り具のリング状パーツを準備。

⑥ 新しいチューブを差し込む

メンテナンスキットの新しい黒チューブを耳管に差し込み、樹脂飾り具に収まるまでしっかり押し上げます。左右とも同じ手順で作業すれば、耳あて側(イヤーチューブ)の交換は完成です。

新しいチューブを耳管に接続している様子
新しいチューブを耳管側のパーツに差し込んでいく。
片側の接続が完了し、もう片側の作業をしている様子
片側の接続が完了。同じ手順でもう片側も仕上げる。

仕上げ:チェストピースとバンドチューブを取り付ける

最後に、これまで使っていたチェストピース(集音部)側にも新しいチューブを接続します。

チェストピースに新しいチューブを接続している様子
チェストピース側にも新しいチューブを差し込んで接続。

2本のゴムチューブがバラバラに広がらないよう、「バンドチューブKバフクローム」という金属製の結束パーツを通して固定すれば、すべての作業が完了です。

バンドチューブKバフクロームのクローズアップ
バンドチューブKバフクローム。2本のチューブを中央でまとめて固定する金属パーツ。
バンドチューブKバフクロームを2本のチューブに取り付けている様子
2本のチューブにバンドチューブKバフクロームを通して固定する。
耳管バネ交換が完了したケンツメディコ マルチスコープNo.141の完成写真
耳管バネとチューブ一式の交換が完了。破損前と変わらない、新品同様の状態に仕上がった。

交換にかかった時間と難易度

今回の交換作業は、写真撮影をしながらでもおおよそ15~20分程度で完了しました。ドライバーなどの工具は不要で、手先の作業だけで完結するため、難易度としては初めての方でも十分に対応可能なレベルです。ポイントは「耳管バネの位置合わせ(端から約39mm)」、「力を入れすぎないこと」の2点だけ押さえておけば、迷うことはないでしょう。

よくある質問

Q. 耳管バネはどのくらいの頻度で交換が必要ですか?

A. 使用頻度や保管環境によって異なりますが、金属疲労による破損のため明確な交換周期はありません。イヤーチップの収まりが悪くなった、チューブの張りが弱くなった、異音がするといった症状が出てきたら、交換のサインと考えてよいでしょう。

Q. 自分で交換できますか?修理に出す必要はありますか?

A. 今回ご紹介した通り、特別な工具を使わず手作業だけで交換可能です。力加減にさえ注意すれば、メーカーに修理を依頼しなくてもご自身で直せます。作業に不安がある方は、当店でも取り付けのご相談を承っておりますのでお気軽にお問い合わせください。

Q. メンテナンスキットはどこで買えますか?

A. 当店(プロフェッサーズラウンド)を含め、医療物品の専門商社が運営するAmazon、楽天市場などの通販サイトで購入できます。チューブの長さ(30cm/45cm/60cm)と、本体がガンメタリック仕様かどうかをご確認のうえお選びください。

Q. 耳管バネの取り付け位置を間違えるとどうなりますか?

A. バネの位置がズレると、バネにかかる負荷が変わり、イヤーチップの収まりや聴診器としての耐久性に影響します。取扱説明書の指定通り、耳管の端から約39mmの位置に合わせるようにしてください。

まとめ

ケンツメディコ「マルチスコープNo.141」は、耳管バネが破損しても、純正のメンテナンスキットを使えば工具いらずで自分で修理できる、メンテナンス性に優れた聴診器です。今回のように部分的な破損であれば、買い替えずに長く使い続けることができます。

当店では、マルチスコープNo.141用のメンテナンスキットの販売を行っています。基本お取り換えはお客様の方で行っていただきますが、お困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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