気に入った服を着ると少し気持ちが上がります。KLUGの白衣やスクラブも、袖を通したときに、そんな気持ちになっていただける服でありたいと思っています。松尾氏(株式会社ジイプリモ 代表取締役)
KLUG(クリュッグ) ー 高級ブランドの縫製技術を、白衣・スクラブへ。「袖を通した瞬間にスイッチが入る服」のつくり手に聞く
2001年、岐阜で創業。数々の高級衣料ブランドの縫製を手がけてきた株式会社ジイプリモが、一人の医師からの依頼をきっかけに立ち上げたのがメディカルウェアブランド「KLUG(クリュッグ)」です。今回は代表取締役の松尾氏に、ブランド誕生の背景から、岐阜でものづくりを続ける理由、そして医療現場へのメッセージまでを伺いました。
プロフェッサーズラウンドが取り扱う、高品質で、美しさと着心地を両立したメディカルウェア
『KLUG』はドイツ語で「思慮深い、賢明な」という意味。日本有数のアパレル産地として栄え、今なお繊維業を地場産業とする岐阜を拠点に、美しくて機能的な白衣・スクラブを発信しているブランドです。
プロフェッサーズラウンドでも、メンズ・レディスのドクターコートやスクラブ、ジャケット型白衣など幅広いラインアップを取り扱っています。この記事では、その「つくり手」である松尾氏に、KLUGの原点とものづくりへの想いを伺いました。

PROFILE
- ブランド
- KLUG(クリュッグ)
- 運営会社
- 株式会社ジイプリモ(岐阜県岐阜市)
- 設立
- 2001年11月
- インタビュー
- 代表取締役 松尾 智弘 氏
- 特長
- テーラードの技術を生かした白衣・スクラブ/抗菌、静電気防止、防汚、ストレッチ性を備えたオリジナル生地
01アパレルの現場から、ジイプリモ設立へ

2001年に岐阜でアパレル会社(株式会社ジイプリモ)を立ち上げられたと伺いました。そもそも、なぜアパレル・縫製の世界で会社を始めようと思われたのですか?
卒業後、繊維専門商社に就職し、生地や裏地、付属品など様々な原材料を扱いました。その後、別の商社の繊維部門に移り、素材から製品まで、アパレルのものづくり全体に関わるようになりました。
そうした経験を生かし、周囲の方々のご協力もいただきながら、2001年に株式会社ジイプリモを設立しました。素材を選び、形にして、お客様に届ける。その仕事に携わってきた経験が、今のものづくりの土台になっています。

02きっかけは、趣味のマラソンで出会った一人の医師

高級衣料ブランドの縫製を手がけてこられた技術を、なぜ「白衣・スクラブ」という自社ブランドに向けようと思われたのでしょうか。「お気に入りのジャケットのような白衣を」という医師からの依頼がKLUG誕生のきっかけと伺っています。
きっかけは、趣味で続けていたマラソンでした。そこで知り合った医師が、偶然、私たちが製造を手がけていたブランドのジャケットを愛用されていたのです。
その先生から白衣づくりのご相談をいただき、最初の一着を作りました。仕上がりをとても気に入ってくださり、その後、ご友人の先生方からもご依頼をいただくようになりました。それが、KLUGをブランドとして立ち上げるきっかけです。
私たちの服づくりを知る方から声をかけていただき、実際に着て喜んでいただけたことが、出発点になっています。
03産地・岐阜で、技術を次の世代へ

岐阜はかつて縫製会社が数多く集まるアパレル産業の一大産地でした。産地としての変化をどのようにご覧になっていますか。そして、あえて岐阜でものづくりを続ける理由を教えてください。
私が創業した頃には、岐阜の縫製産業はすでに大きく変化していました。当社が扱うメンズ製品では海外生産が広がっており、地域の生産環境も変わっていく時期でした。
その中で、私たちが岐阜でのものづくりを続けている理由の一つが、関連会社の就労支援事業所で、縫製に携わる人材を育てていることです。地元の特別支援学校ともつながりがあり、授業や実習を通じて、服づくりに触れていただく機会を設けています。
これまで培ってきた技術を、地域で働く人や次の世代につないでいきたいと考えています。
現在は、国内工場と長年積み上げてきた海外工場の技術を生かしてものづくりをしています。

04縫製を切り口にした就労支援「ウェルアーチ」

縫製技術を通じて障がいのある方の就労を支援する「ウェルアーチ」の取り組みを始められた経緯を教えてください。
2015年、KLUGの立ち上げと同じ時期に、「縫製を切り口にした就労支援」をコンセプトとするウェルアーチを立ち上げました。私たちにとって、この二つの事業はつながっています。
立ち上げの際に出会った方のお話を通じて、障がいの有無という括りだけで人を見るのではなく、一人ひとりの得意なことや、必要な支援に目を向けることの大切さを学びました。
服づくりには、ミシンを使う以外にも多くの工程があります。一着を仕上げて出荷するまでに、さまざまな人が関われる仕事です。丁寧な工程分担が、一着ごとの品質を支えています。それぞれの得意なことを生かし、長く仕事に携われる場をつくっていきたいと考えています。
特別支援学校での縫製授業のお手伝いや実習生の受け入れにも取り組み、技術を伝えることにも力を入れています。

05ミリ単位の調整に宿る「型紙の意図」

医療現場での動きを分析し、ミリ単位でパターンを調整されているそうですね。一番印象に残っているエピソードはありますか?
印象に残っているのは、大手アパレルのパタンナーの方々から、型紙の意図を縫製で正確に形にすることの大切さを教わった経験です。
ジャケットの衿や袖は、ミリ単位の調整を重ねながら、美しいシルエットと着心地を追求しています。ただ、その意図を理解せずに縫ってしまうと、せっかくの工夫が仕上がりに表れないことがあります。
私も最初からその違いが分かったわけではありません。良い製品を見て、作って、自分でも着ることを繰り返す中で、少しずつ理解してきました。今でも商品を見ると、衿や袖の仕上がりには自然と目が向きます。そうした経験を、KLUGのものづくりにも生かしています。
06白衣・スクラブの生地を、専門家とともに

抗菌加工、静電気防止加工、防汚加工、ストレッチ性、通気性。これだけの機能を一つの生地に両立させるのは簡単ではないと思います。開発はどのように進められたのでしょうか。
生地づくりは、生地メーカーの皆様のご協力があってこそ成り立っています。
それまでアパレル向けの素材は多く扱ってきましたが、医療向けの素材には、初めて学ぶことも多くありました。開発担当の方々に糸や加工の組み合わせについて教わり、相談を重ねながら、何度も見本を作ってきました。
医療現場で使われる服に、どのような機能や着心地が求められるのか。素材の専門家の知恵を借りながら、それを一つずつ形にしていく過程でした。


07こだわりは「仕立て」と「仕上がり」、譲れないのは品質

本当に高品質な白衣、スクラブだと思います。こだわりのポイントと、苦労された点を教えてください。
私たちの強みは、高級衣料ブランドの製造で培ってきた縫製の技術と、仕上がりを見る目です。その経験を、白衣やスクラブにも生かしています。
一方で、医療現場で本当に求められていることや、着る方が日々感じていることを理解する難しさは、今も感じています。仕立ての良さを大切にしながら、実際に着用される方のお話に耳を傾ける。その積み重ねが、KLUGのものづくりには欠かせないと考えています。

コストや納期が厳しい中でも、「ここだけは絶対に譲れなかった」というポイントはありますか?
譲れないのは、品質です。KLUGは自社の名前でお届けするブランドですから、一着ごとの仕上がりが、そのまま私たちへの信頼につながると考えています。
パッケージを開け、商品を手に取ったときに喜んでいただきたい。そして、実際に着ていただいた後も、また選びたいと思っていただきたい。その気持ちを、ものづくりの基準にしています。
08大切に着続けてもらえる、つくり手のよろこび

KLUGでは、長く愛用されているお客様も多いと聞きますが、いかがですか?
贈り物として受け取られた一着を、「思い出のある品なので、これからも大切に着たい」と、お手入れのためにお持ちくださった先生がいらっしゃいました。お手入れをしてお返ししたところ、とても喜んでいただけたことが印象に残っています。
服には、着る方の思いや、贈ってくださった方との思い出も重なっていくのだと感じました。
私たちが製造に携わってきたアパレル製品でも、長い年月を経て修理のご相談をいただくことがあります。大切に着続けていただいていることは、作り手にとって本当にうれしいことです。KLUGの白衣やスクラブも、そうして長く着続けていただける一着であってほしいと思っています。

09受注会で聞いた、現場の声

当店では以前、KLUGのオーダー受注会を開催させていただきました。医師・医療従事者の方々と直接お会いする中で、印象に残っているやり取りや、店頭ならではの発見はありましたか?
受注会では、お客様のご要望や、普段の白衣に感じている不便を直接伺うことができました。
ゆっくりお話しする時間があることで、普段はなかなか聞けない細かなことまで教えていただけたのが、とてもよかったです。作り手だけでは気づけないことを知る、貴重な機会になりました。
こうした対話を、これからのものづくりにつなげていきたいと考えています。
10これからのKLUG、医療現場の皆様へ

最後に、今後挑戦したいことと、日々白衣・スクラブを着用する医師・医療従事者の皆様へのメッセージをお願いします。
私自身、服が好きなので、気に入った服を着ると少し気持ちが上がります。KLUGの白衣やスクラブも、袖を通したときに、そんな気持ちになっていただける服でありたいと思っています。
これまでお会いした医師や看護師をはじめ、医療に携わる皆様のお話から、日々のお仕事の大変さを感じてきました。その毎日の、小さな支えになれる服を作り続けたいです。
これからも現場の声に耳を傾け、着心地と仕立ての良さを磨いていきます。今後ともKLUGをよろしくお願いいたします。


プロフェッサーズラウンドが見る、KLUGの4つのこだわり
- 高級ブランドの縫製技術が生きる、白衣・スクラブKLUGの白衣・スクラブには、高級ブランドの生産で培われた縫製技術が生かされています。品質の高い工場で一着ずつ丁寧に仕上げられている点も、選ぶ際の安心材料です。
- ジャケットづくりの技術と、動きやすさへの配慮着たときの美しいシルエットにこだわりながら、肩まわりの動きやすさと、長時間着てもストレスになりにくい着心地を、ミリ単位の調整で追求しています。メンズ白衣では、ラペルや前立て、ポケット上端に手縫い風のステッチ(AMFステッチ)を施すなど、細部の仕立ても見どころです。
- 医療現場のためのオリジナル生地抗菌加工、静電気防止加工、汚れが付きにくく落ちやすい加工、動きやすい伸縮性と通気性を備えた独自開発の生地です。色は青みを抑えた自然な白で、清潔感と落ち着きが感じられます。
- 軽やかに動ける、着心地のよいスクラブバックスタンドカラーやVネックなど、落ち着いたデザインとシックな色合いのスクラブ。医療現場で毎日の着用に有難い、軽さと動きやすさ、着心地のよさを備えています。
SUMMARYインタビューを終えて ― 袖を通した先の「毎日」まで見据えたものづくり
松尾氏のお話を振り返ると、KLUGのものづくりは次の3つに集約できると感じました。
- 縫製の技術が、すべての出発点高級衣料ブランドの縫製で培った、型紙の意図を形にする目。衿や袖のミリ単位の調整にまで、その経験が生きています。
- 現場の声に、耳を傾け続ける一人の医師からの相談で始まったKLUG。素材の専門家と相談を重ね、受注会などの対話から、作り手だけでは気づけないことを学んでいます。
- 着る人と、地域と、つながっていく贈り物の一着を大切に着続ける先生がいて、岐阜では技術を次の世代へつなぐ取り組みがある。服づくりが、人と地域の営みの中にあります。
印象的だったのは、松尾氏が一貫して「着る人」と「つくる人」の両方を見ていることでした。ミリ単位の調整は、袖を通した瞬間の心地よさのために。生地の開発は、医療現場に本当に必要な機能を一つずつ形にするために。そして、その技術は、次の世代へも手渡されようとしています。
プロフェッサーズラウンドでも2月に旗の台店で、KLUGのオーダー白衣の受注会を開催し、お客様とつくり手が直接言葉を交わす場をご用意しました。ブランドの背景や作り手の想いを知ったうえで、一着を選んでいただきたい。今回のインタビューも、そんな思いから生まれた企画です。
白衣やスクラブは、毎日袖を通す仕事着です。「気に入った服を着ると、少し気持ちが上がる」。そんな一着をお探しの方は、ぜひKLUGのアイテムをご覧ください。
ITEMKLUGのアイテム
ジャケットづくりで培ったテーラードの技術と、医療現場のための機能を備えたKLUGのラインアップ。
『確かな縫製と丁寧な仕立てを、白衣・スクラブへ』KLUG(クリュッグ)・クリエイターインタビュー!ジイプリモ・松尾氏
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